介護保険
2026.8.10

介護保険で何ができる?制度の仕組みやサービス内容を解説

2026.8.10
介護保険で何ができる?制度の仕組みやサービス内容を解説

目次

介護保険制度は、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう、必要な介護サービスを提供するために創設された社会保険(公的保険)制度です。

「介護保険は何歳から利用できるの?」「どのようなサービスを受けられるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、介護保険制度の仕組みや対象者、利用できるサービス、利用開始までの流れをわかりやすく解説します。

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、要介護者やその家族が安心して生活を送れるよう、必要なときに必要なサービスを利用できる公的保険制度です。

日本では社会の高齢化に伴い、要介護者の増加・介護期間の長期化などから介護ニーズが高まる一方、核家族化など世帯規模の縮小も進み、「家族だけで介護を担う」ことは難しくなっています。

そこで、「介護を社会全体で支える」という考え方のもと、2000年(平成12年)4月に介護保険制度がスタートしました。

介護保険制度は、単に介護サービスを提供するだけではなく、利用者が多様なサービスを本人の意思・希望に沿って選択し、できる限り自立した生活を送れるよう支援することを目的としています。

そのため、要支援・要介護状態にならない(または重度化しない)ための介護予防や、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の推進にも重要な役割を担っています。

介護保険制度の仕組み

介護保険制度は、利用者・保険者(市区町村)・介護サービス事業者の3者で成り立っています。

  • ●被保険者:40歳以上で介護保険料を納める人
  • ●保険者:市区町村
  • ●サービス事業者:訪問介護

介護サービス費用は、原則として利用者が1~3割を負担し、残りは介護保険から給付されます。この負担割合は所得に応じて決まります。

第1号被保険者・第2号被保険者の違い

区分 対象 サービス利用条件(受給要件)
第1号被保険者 65歳以上の者 要介護・要支援認定を受けた場合
第2号被保険者 40~64歳の医療保険加入者  加齢に伴う16種類の特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合

第2号被保険者は、脳血管疾患や初老期における認知症など、厚生労働省が定める特定疾病が原因で介護が必要になった場合に利用できます。

介護保険で利用できるサービス

介護保険サービスは、認定区分によって利用できるサービスが異なります。

  • ●介護給付 …… 要介護1~5の認定を受けた人が利用できる
  • ●予防給付 …… 要支援1・2と認定された人が利用できる

心身の状態に応じて、日常生活を支えるさまざまなサービスを利用できます。

主な介護保険サービス

 

利用者の状態や希望に応じたサービスを選択

介護保険サービスには、自宅で生活を続けながら利用できるサービスから、施設へ入所して介護を受けるサービスまで幅広い種類があります。

ケアマネジャーや地域包括支援センターと相談しながら、本人や家族の希望、心身の状態に合ったサービスを選ぶことが大切です。

介護保険サービス利用の流れ

介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。申請からサービス利用開始までは、一般的に次のような流れで進みます。

  • ①要介護認定の申請

介護保険によるサービスを利用するには、要介護・要支援認定の申請が必要になります。65歳以上の人(第1号被保険者)の申請には介護保険被保険者証、40~64歳までの人(第2号被保険者)は医療保険加入の確認書類(資格情報のお知らせ、資格確認書など)が必要です。

申請は本人だけでなく、家族や地域包括支援センター、居宅介護支援事業者などが代行することも可能です。

② 認定調査・主治医意見書

申請後、市区町村の認定調査員が自宅や施設などを訪問し、心身の状態や日常生活の様子を調査します。また、市区町村から主治医(かかりつけ医)へ意見書の作成が依頼され、調査結果とあわせて認定のための資料となります。主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察を受けます。※申請者の意見書作成料の自己負担はありません。

  • ③審査判定

認定調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピューターによる審査・判定が行われます。(一次判定)
一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による審査判定が行なわれます。(二次判定)

④ 認定

介護認定審査会の審査・判定結果をもとに、市区町村が要介護認定を行い、申請者へ認定結果を通知します。申請から認定結果の通知までは、原則30日以内とされています。

認定区分は、介護の必要度に応じて「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1~5」の8区分に分かれます。

非該当(自立) 介護保険サービスの対象外

※チェックリスト該当者は総合事業によるサービスを受けられる場合がある

要支援1・2 日常生活の一部に支援が必要な状態
要介護1~5 介護が必要な状態。数字が大きいほど介護の必要度が高い

認定結果によって利用できる介護サービスや支給限度額が決まるため、要介護認定は介護保険サービスを利用するうえで重要な手続きとなります。

要介護認定には有効期間が設定されており、期間が満了する前に更新申請を行う必要があります。

申請区分 新規申請・区分変更申請 更新申請
認定の有効期間 原則6か月

(状態に応じて3~12か月)

原則12か月

(状態に応じて3~48か月)

有効期間を過ぎると介護保険サービスを利用できなくなるため、継続してサービスを利用する場合は、有効期間満了前に更新申請を行いましょう。

また、心身の状態に変化があった場合は、有効期間中でも区分変更申請を行うことができます。

⑤ 介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)の作成

要介護認定を受けた後は、介護保険サービスを利用するための介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)を作成します。ケアプランには、利用するサービスの種類や利用頻度、目標などが記載され、本人や家族の希望、心身の状態を踏まえて作成されます。

ケアプランの作成を担当する機関は、認定区分によって異なります。

認定区分 ケアプランの作成先
要支援1・2 地域包括支援センター、介護予防支援事業者

(R5年改正・6年施行)※指定を受けた居宅介護支援事業者

要介護1~5 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)

要介護1以上の方は、居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)が、利用者や家族の希望を聞きながら適切なケアプランを作成します。

要支援1・2の方は、地域包括支援センター・介護予防支援事業者が介護予防サービス計画書(介護予防ケアプラン)を作成し、自立した生活を維持できるよう支援します。

⑥ 介護サービス利用の開始

作成したケアプランに基づき、訪問介護(ホームヘルプ)、デイサービス、福祉用具貸与、ショートステイ、施設サービスなど、必要な介護保険サービスの利用を開始します。利用開始後も定期的にケアプランを見直し、利用者の状態に応じてサービス内容を調整します。

介護保険制度を活用するメリット

介護保険制度を利用することで、必要な介護サービスを受けながら、本人や家族の負担を軽減できます。主なメリットは次のとおりです。

①自己負担を抑えて介護サービスを利用できる

介護サービス費用の原則1割(所得に応じて2~3割)を負担することで、訪問介護やデイサービス、福祉用具貸与などのサービスを利用でき、費用負担を抑えながら支援を受けられます。

  • ②専門職による総合的・包括的な受けられる

介護福祉士や看護師、理学療法士、ケアマネジャーなど、専門知識を持つ職員から介護や生活支援、リハビリなど、従前の制度では別々に申し込んでいた医療・福祉の両サービスを総合的・包括的に受けられます。利用者の状態に応じた適切な支援を受けられるため、安心して生活を続けやすくなります。

  • ③在宅介護と施設介護を選択できる

自宅で利用する訪問介護やデイサービスだけでなく、ショートステイや介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)など、利用者の状況(要介護度や本人の意思・希望)に応じてさまざまなサービスを選択できます。

④家族の介護負担を軽減できる

介護サービスを利用すれば、家族だけで介護を抱え込むことなく、身体的・精神的な負担を軽減できます。介護と仕事や家庭生活の両立も図れるなど、介護者家族のQOL(生活の質)向上にもつながります。

介護保険制度を利用する際の注意点

介護保険制度を使ってサービスを受ける際は、次のような点を理解しておきましょう。

①要介護認定を受ける必要がある

介護保険サービスを利用するには、市区町村へ申請し、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。認定結果によって利用できるサービスや支給限度額が決まります。

②支給限度額を超えた分は全額自己負担

介護保険には、要介護度ごとに1か月あたりの支給限度額が定められています。限度額を超えてサービスを利用した場合、その超過分は全額自己負担となります。ただし、一部サービスでは高額になった場合の減免措置もあります

③サービスによって利用条件が異なる

すべての介護保険サービスを自由に利用できるわけではありません。要支援・要介護の区分や心身の状態によって利用できるサービスが異なるため、ケアマネジャーなどと相談しながら適切なサービスを選ぶことが大切です。

④所得に応じて自己負担割合が変わる

介護保険サービスの自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかとなります。利用前に、自身の負担割合を確認しておくと安心です。

⑤滞納による給付制限

第1号被保険者が介護保険料を滞納すると、保険給付の支払方法の変更、一時差し止めなどが行われます。

よくある質問

  1. Q.介護保険は何歳から利用できますか?
  2. A.65歳以上の方は要介護・要支援認定を受けることで利用できます。40~64歳の方は、特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた場合に利用できます。
  3. Q.自己負担はいくらですか?
  4. A.原則1割負担ですが、所得に応じて2割または3割となる場合があります。
  5. Q.ケアマネジャーは必ず必要ですか?
  6. A.一般的にケアマネジャーがケアプランを作成します。居宅サービスでは利用者自身や家族で「セルフケアプラン」を作成することも可能ですが、専門的な知見に沿った適切なサービスが受けられなくなるなどのリスクもあります。

まとめ

介護保険制度は、高齢者やその家族を社会全体で支えるための重要な制度です。介護が必要になった際は、要介護(要支援)認定を受けることで、訪問介護やデイサービス、施設サービスなどさまざまな支援を利用できます。

制度の仕組みを理解しておくことで、必要なときにスムーズに介護サービスを利用できるでしょう。

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出典

厚生労働省「介護保険制度の概要

厚生労働省「介護保険制度の概要(令和7年7月版)

厚生労働省「介護保険の解説

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