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「接遇って、具体的にどんなことをするの?」
「接遇を身につけると、どんなメリットがあるの?」
このような疑問をお持ちではありませんか。
接遇は、観光業やブライダル業界といった「接客以上の親切・丁寧な対応が求められる仕事」で活用されています。
介護の仕事でも、接遇は利用者満足度を高める重要なスキルです。
令和6(2024)年度の介護報酬改定で一本化された介護職員等処遇改善加算でも、キャリアパス要件(Ⅱ、研修の実施等)の具体的取組例のひとつとして「基本的な接遇・マナーの理解」が挙げられています。
参考:介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第3版)問4-4
この記事では、接遇の目的や「接客」との違いを紹介した上で、具体的なマナーや身につけるコツを紹介します。
接遇に興味のある介護職、接遇教育を取り入れたい現場責任者の方はぜひご覧ください。
介護の現場で大切な「接遇」ってなに?

接遇とは、一般的に「気遣いや思いやりの気持ちを相手に伝えるためのコミュニケーション技術」を指します。
入浴介助や排せつ介助など、利用者のプライバシーに触れることの多い介護現場では、相手の気持ち(羞恥心など)への配慮が欠かせません。
また、疾病や障がいを持つ高齢者に寄り添うためには、表情や態度で思いやりの気持ちを伝えることも大切です。
こうした気遣いや思いやりの気持ちを利用者に示して、信頼関係を構築するのが接遇の主な目的となります。
厚生労働省では、「高齢の方や障害のある方の尊厳を尊重して対応する」ことを接遇の基本としています。
介助には専門的な知識と技術が必要ですが、接遇は「意識を変えることで、すぐに対応できる」という点もポイントです。
宿泊施設向けの定義となっていますが、介護・福祉職に共通の指針といえるでしょう。
参考:厚生労働省・観光庁「高齢の方、障害のある方等配慮を要する宿泊者に対する接遇に関する研修ツール」
具体的な方法を先に確認したい方は、「介護職にとって必須!接遇マナー5つのポイント」をご覧ください。
接遇と接客の違いを簡単に言うと?
接遇と接客は、意味が似ている言葉ですが、目的が異なります。
接客の主な目的は、サービスを気持ちよく利用してもらい「また来たい」と思ってもらうことです。
介護の接遇は、利用者に「この人になら介助を任せられる」「この施設なら安心して通える」と感じてもらうことが主なゴールとなります。
丁寧な言葉や態度で接することはもちろん、悩み・不安を打ち明ける利用者の話に落ち着いて耳を傾けるなど、相手に安心してもらうことで信頼を得るのです。
関係づくりの中で、ひとりひとり異なるニーズを理解し、より適切・柔軟に対応することが可能となります。
利用者満足度も高まり、サービスの継続利用にもつながっていくはずです。
接遇スキルを身につけた介護職は、利用者や家族、同僚・上司から頼りにされる存在となるでしょう。
なぜ介護の現場で接遇が大事なの?
要支援者や要介護者は、何らかの疾病や障がいを抱えています。そのため、不安や葛藤、将来への不安を抱えている方も少なくありません。
それでも、「身の回りのことは自分で行っていきたい」「友人や知人との交流を楽しみたい」といった希望を持っている方も多数いらっしゃいます。
介護職には、こうした個々の利用者が望む生活を実現できるように、不安をやわらげたり利用者の自己決定を支援したりしてサポートする姿勢が求められるのです。
人が人を支える介護の現場では、表面的なサービスではなく、心のこもった対応が大切です。
接遇をいかした親切・丁寧な対応は、利用者や家族の「自分(たち)に寄り添ってほしい」「体調や気分に合わせて接してほしい」といったニーズも満たすでしょう。
利用者のQOL(生活の質)にも、接遇は大きくかかわってきます。
介護職にとって必須!接遇マナー5つのポイント

介護職で身につけたい基本的な接遇マナーは、以下の5項目です。
- 1.明るい挨拶
- 2.やさしい表情
- 3.丁寧な言葉遣い
- 4.落ち着いた態度
- 5.清潔感のある身だしなみ
1.挨拶は、コミュニケーションの入り口にあたる言葉です。普段よりやや明るい声で、相手に目線を合わせて行うと、好印象を持ってもらえるでしょう。
2.やさしい表情とは、相手の緊張や不安をやわらげて安心感をあたえるような表情です。口角(口の両端)を少し上げて、まぶたや眉間の力を抜いてみましょう。
どうしても緊張で顔全体に力が入ってしまうときは、一度大きく息を吐いてゆっくり吸ってみてください。
3.丁寧な言葉遣いを心がけると、利用者に「私のことを大切にしてくれている」と感じてもらえます。
「です・ます」口調で話すように注意して、“タメ口”は避けましょう。また、「よくできましたね~」などの幼児語(赤ちゃん言葉)は、相手に対して失礼な態度にあたります。使用を控えましょう。
4.落ち着いた態度は、利用者や家族に信頼感をあたえます。家族からの質問を受けた際も、慌てず丁寧に返答しましょう。
どう答えていいかわからないときは、「わかる者に聞いてまいりますので、少々お待ちください」と一言断りを入れてから、先輩・上司に確認すれば問題ありません。
利用者の対応中に家族から質問を受けた際は、見守り確認ができている状態で先輩や上司に確認するとよいでしょう。
5.身だしなみでは、髪型や手・爪・服装などに気を配る必要があります。以下の図を参考に、できる箇所から整えていきましょう。

5つの項目を実践することで、介護のプロにふさわしい接遇が身につきます。
接遇がしっかりできるとどうなる?
接遇が身につくと、利用者や家族に好感を持ってもらいやすくなります。
信頼を得た結果、「いつも丁寧に対応してくれて、ありがとう」「〇〇さんは信頼できる」といった言葉をもらえるかもしれません。介護職としての成長を実感できれば、今よりも自信を持って仕事に取り組めるでしょう。
接遇を身につけた職員は、職場にもプラスの影響をあたえます。
利用者に寄り添った姿勢や言葉遣いは、周囲の介護職の見本となるはずです。たとえば、介護リーダーが接遇を身につけると、それを見た部下や同僚が見習うようになり、職場全体の接遇が向上します。
利用者が安心できる接遇のちょっとしたコツ
誰でも取り組める接遇のコツを3つ紹介します。
- 1.目線の高さを利用者に合わせる
- 2.“聴く”姿勢を相手に示す
- 3,スタッフ同士の接し方にも気を配る
1.利用者とコミュニケーションを取るときは、目線の高さを相手に合わせましょう。見下ろして話すと、相手に威圧感をあたえるおそれがあります。膝を床につけたり椅子に座ったりして、目線の高さを調節してみてください。
2.信頼関係を構築したいときは、「あなたの話に耳を傾けます」という姿勢を示しましょう。顔や体の向きを利用者に合わせて、相手の話に相づちなどを返してあげてください。これは「傾聴」と呼ばれるコミュニケーションスキルです。
3.介護現場では、スタッフの表情や態度が利用者に影響をあたえることがあります。利用者のプライバシーに関する話題(排便の間隔や疾病の状態など)は、周りに利用者がいない場所で行いましょう。
利用者の性格や状況、職場の環境に合わせて、適切な接遇を実践してみてください。
接遇スキルが上がるとキャリアも広がる

接遇スキルは、介護職のキャリアアップに役に立ちます。
接遇が身についた職員は、利用者の気持ちに寄り添った対応ができるため、利用者本人や家族から信頼されやすくなります。
また、他の介護職の見本となるケアを実践する姿は、他の同僚や職場全体に好影響をあたえるでしょう。施設全体に貢献することで、現場の介護職なら介護リーダーや介護主任といった役職者へ抜擢されやすくなります。
接遇マナー研修や表彰制度などを導入して要件を満たせば、処遇改善加算の算定による賃上げも期待できるでしょう。
参考:厚生労働省 一本化リーフレット ,介護職員等処遇改善加算 職場環境等要件 取組の事例集
もちろん、接遇スキルを現場で活かすためには、確かな介助技術がベースとなります。
介護支援サービスは「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」提供するものです(介護保険法第一条より)。
「信頼・満足」とともに「安心・安全」を確保した、適切なサービスを継続しなければなりません。
確かな介助技術を身に付けて現場で接遇を実践していくことで、介護職としての可能性は大きく広がるでしょう。
専門知識や介助技術を働きながら学び、接遇スキルを活かしたい方は、、専門スクールでの学習が効率的です。
まとめ|未来ケアカレッジで介護のプロを目指し接遇力を磨こう

介護の接遇は、介護職の価値を高めるコミュニケーション技術です。
利用者との信頼関係の構築に役立つほか、相手の尊厳を守る対応も実践できるようになります。家族や同僚からの評価を高めたいときにも役立つスキルです。
今回紹介した接遇マナーの5原則を実践して、ぜひ利用者・家族・職場の仲間との良好な関係を築き上げてください。
なお、「接遇力」を正しく発揮するためには、土台となる介護の基礎的技術と知識の習得が重要です。
たとえ接遇スキルが十分でも、基礎的な介助を提供できないと、利用者からの信頼は得られないでしょう。
未来ケアカレッジでは、専門講師による実践的な指導で、介護技術としてのコミュニケーションをはじめ、即戦力となる知識とスキルを習得していただけます。
初任者研修や実務者研修では、現場で役立つスキルをしっかり学べます。さらに、資格取得から就職支援まで一貫したサポート体制で安心のキャリア形成も可能です。
現場で実践できるスキルを身につけたい方は、ぜひ未来ケアカレッジの講座内容をご確認ください。