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高齢化が進む近年、認知症のある方が安心して暮らせる環境づくりがますます重要になっています。
そのような中、無資格で働く介護職員に対して、「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられました。
本記事では、研修の内容や受講が必要となる方、免除の条件、受講方法などをわかりやすく解説します。
これから介護の仕事を始めたい方や、制度について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
認知症介護基礎研修とは?

認知症介護基礎研修は、無資格で介護保険施設・事業所の介護職として働く場合に受講が義務付けられている研修です。
介護職員初任者研修を修了している方や、実務者研修・介護福祉士など一定の介護知識を有する資格を持つ場合は、受講が免除されます。
この研修では、「認知症の定義と原因疾患」「認知症の中核症状と行動・心理症状の理解」などを学び、適切なケアの基礎を身につけます。
これから介護職として働く方や制度について理解を深めたい方は、義務付けの対象者や研修内容をあらかじめ把握しておきましょう。
義務化された背景

認知症介護基礎研修は、3年の猶予期間を経て令和6年度より完全義務化となりました。
義務化の背景として、「認知症が高齢者にとって身近な疾患になってきたこと」「尊厳を守る認知症ケア(対応力)が求められていること」が挙げられます。
厚生労働省の資料によると、国内の65歳以上の高齢者のうち、認知症またはMCI(軽度認知障害)を持つ人の割合は合計で27.8%。高齢者の約3人に1人は、認知機能に何らかの障害が認められる状態といえます。
参考:厚生労働省|認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率
知識やスキルがない状態で、認知症ケアを実践することは困難です。認知症介護基礎研修では、認知症ケアに必要な最低限の知識・スキル、実践に必要な考え方を学べます。
受講対象者
認知症介護基礎研修の対象となる方は、介護保険施設や事業所で介護業務に直接従事する職員です。そのうち無資格者については、認知症介護基礎研修の受講が義務付けられています。新任職員などは、採用後1年以内に研修を受講・修了しなくてはいけません。
なお、外国人の介護職員については、EPA介護福祉士や在留資格「介護」などの有資格者を除き、認知症介護基礎研修の受講対象者となります。
参考:東京都福祉局|認知症介護基礎研修に関するよくあるご質問
免除対象者
認知症介護基礎研修の義務付けが免除される資格者は、下記のとおりです。
- ・介護・福祉系資格を持っている方
- ・介護福祉士
- ・介護支援専門員
- ・実務者研修修了者
- ・介護職員初任者研修修了者
- ・生活援助従事者研修修了者
- ・介護職員基礎研修課程修了者
- ・訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者
- ・社会福祉士
- ・医療・看護・保健系資格を持っている方
- ・医師
- ・歯科医師
- ・薬剤師
- ・理学療法士
- ・作業療法士
- ・言語聴覚士
- ・精神保健福祉士
- ・管理栄養士
- ・栄養士
- ・あん摩マッサージ師
- ・はり師
- ・きゅう師
- ・柔道整復師
- ・歯科衛生士
なお、認知症の高齢者が暮らす地域などで開催されている「認知症サポーター養成講座」を受講しても、認知症介護基礎研修の義務づけが免除されることはありません。
また、日本以外の国の医療・福祉系資格を所持している方も免除対象とならないため、認知症介護基礎研修を受講する必要があります。
参考:厚生労働省老健局|介護保険最新情報Vol.934
参考:厚生労働省老健局|介護保険最新情報 Vol.1225
参考:東京都福祉局|認知症介護基礎研修に関するよくあるご質問
認知症介護基礎研修の学習内容

認知症介護基礎研修では、「認知症の人の理解と対応の基本」を学びます。
具体的な学習内容は以下のとおりです。
- ・認知症の人を取り巻く現状
- ・具体的なケアを提供するときの判断基準となる考え方
- ・認知症の人を理解するために必要な基礎的知識
- ・認知症ケアの基礎的技術に関する知識と実施上の留意点
引用:厚生労働省老健局|介護保険最新情報 Vol.1487(別紙1)
なお、認知症介護基礎研修は、原則として「eラーニング」によって実施されています。
eラーニングとは、パソコンやスマートフォン、タブレットPCなどの端末とインターネットを利用する学習方法です。
認知症介護基礎研修のeラーニングでは、パソコンやスマートフォンなどから解説動画を視聴して学習を進めていきます。
テキストの文面や動画の音声説明は「やさしい日本語(N4レベル)」となっており、英語やベトナム語などの多言語にも対応しています。
【認知症介護基礎研修の受講概要】

認知症介護基礎研修は原則としてeラーニングで実施されていますが、研修実施機関によっては、日時や会場、定員などを指定した「集合研修」を開催しているところもあります。
認知症介護基礎研修の具体的な申し込み方法や所要時間、受講費用などを確認しましょう。
申し込み方法
認知症介護基礎研修の申し込みは、原則として勤務先の事業所を通じて行う必要があります。事業所に所属していない個人の方は、申し込みそのものができません。
参考:認知症介護研究・研修仙台センター|認知症介護基礎研修eラーニングに関するその他の質問
また、認知症介護基礎研修の申し込みは、事業所の管理者が行うケースが原則です。すでに介護施設などで働いている方は、勤め先の管理者や上司に相談してみましょう
以下に、認知症介護基礎研修の申し込みの流れを3ステップに分けて紹介します。
- 1.認知症介護基礎研修の研修実施機関を確認する
- 2.研修実施機関の案内に沿って申込登録を行う
- 3.受講料を支払う
認知症介護基礎研修の申し込み窓口は、認知症介護基礎研修を実施している研修機関です。
たとえば、東京都では、認知症介護研究・研修仙台センター(以下、仙台センター)を実施研修機関に指定しeラーニングで実施しています。
そのため、勤務先が東京都にある方は、仙台センターが申し込み窓口となりeラーニングで受講することになります。
参考:東京都ホームページ|認知症介護基礎研修eラーニングについて
まずは、お住まいの地域や勤務先がある自治体を確認してみましょう。次に自治体が指定している研修実施機関を確認してみてください。
そして、研修実施機関のホームページなどから、実施方法(eラーニング/集合研修)や手続きの案内を確認していきましょう。
所要時間
認知症介護基礎研修をeラーニングで受講した場合の所要時間は約150分です(テストにかかる時間を除く)。
eラーニングの学習の流れは、以下のとおりです。
- 1.解説動画を視聴する
- 2.復習問題を行う
- 3.確認テストを受ける
- 4.テストに合格したら次の学習に進む
全ての確認テストに合格した方に「修了証書」が発行されます。
参考:認知症介護研究・研修仙台センター|認知症介護基礎研修eラーニングの学習内容
集合研修の場合は、一般的に昼休憩などを挟み約1日がかりのスケジュールとなります。なお、集合研修では遅刻・早退は欠席扱いとなる可能性があるため注意が必要です。交通案内を確認のうえ、体調管理にも気を付けましょう。
費用
認知症介護基礎研修の受講費用の目安は、無料~3,000円です。eラーニングの受講費用は、研修実施機関によって異なるため、申し込みの際は納付方法と合わせて確認しましょう。
なお、受講にあたり別途テキストの購入が必要になるケースがあるため、実施要項などで詳細を確認すると安心です。勤め先の法人や会社によっては、従業員の資格取得費用を負担しているところもあるため、こちらも確認しておくとよいでしょう。
なお、仙台センターのeラーニングで受講した場合、請求書・領収書・修了証書はPDF形式で発行されます。
介護職員初任者研修との違い

介護職員初任者研修は、基本的な介護業務に必要な知識・スキルなどを身に付けるための資格です。
基本的な介護業務とは、食事介助や入浴介助、服薬介助といった要介護者・要支援者が日常生活を送るうえで必要な支援を指します。
認知症介護基礎研修と介護職員初任者研修の大きな違いは、学習内容です。
認知症に特化した認知症介護基礎研修に対して、介護職員初任者研修では認知症への理解を含め介護業務全般で必要となる基礎的な知識・スキルなどを学びます。
| 項目 | 認知症介護基礎研修 | 介護職員初任者研修 |
| 目的 | 認知症に関する基本的な知識・技術、実践するための考え方を身に付ける | 認知症ケアを含め介護業務に必要な最低限の知識・技術、実践するための考え方を身に付ける |
| 研修科目 | 1科目 | 10科目 |
| 所要時間 | 約150分(※) | 130時間 |
| 修了試験 | なし | あり |
| 受講費用の目安 | 無料~約3,000円(※) | 約3万円~15万円 |
※eラーニングの場合
なお、初任者研修の修了試験の内容や合格率、勉強方法などを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
▶関連記事
初任者研修の試験とは?内容・合格率・勉強法・再試験までやさしく解説
まとめ

認知症介護基礎研修は、国が策定した「認知症介護実践者等養成事業」の入門的な研修として位置付けられている研修です。
認知症介護基礎研修で学ぶことは、認知症の本人やその家族を適切に支援するための知識・スキルなどです。はじめて介護の仕事に携わる方、認知症ケアの基礎を学びたい方を対象としています。
しかし、介護職として活躍の場を広げていきたいなら、「介護職員初任者研修」の受講がおすすめです。
介護職員初任者研修を受講すると、認知症への理解を深められるだけでなく、「介護の基本」「介護におけるコミュニケーション技術」といった介護現場で役立つ実践的な知識やスキルを学べます。
また、介護職員初任者研修を修了することで、訪問介護員として身体介護も提供できるようになるなど、より多くの介護保険施設・事業所で介護職として働けるようになります。
未来ケアカレッジでは、介護の仕事をはじめて目指す方、介護の資格を取得してキャリアアップを目指したい方に向けて、介護職員初任者研修講座を提供しています。
ぜひこの機会に、未来ケアカレッジの介護職員初任者研修の特徴や選ばれる理由などを下記ページからご覧ください。