介護の知識
2023.8.3

特定処遇改善加算とは?配分ルールや区分ⅠとⅡの違いを徹底解説

特定処遇改善加算とは?配分ルールや区分ⅠとⅡの違いを徹底解説

目次

「特定処遇改善加算ってどんな内容?」

「どんな人が支給されるの?」

このような疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。

特定処遇改善加算とは、介護職員をはじめとした介護に関わる職種の処遇改善を目的とした加算です。

本記事では、特定処遇改善加算の算定要件や配分ルールを中心に解説します。

特定処遇改善加算を理解し、仕事に役立ててみてはいかがでしょうか。

特定処遇改善加算とは?

特定処遇改善加算とは、経験・技能のある介護職員に重点を置き、さらなる処遇改善を行う目的で創設された加算です。

介護職の平均給与は全産業のなかでも比較的低いため、リーダー級の介護職員の給与を全産業の平均年収である440万円へ引き上げることで、介護職員の定着につなげる狙いがあります。

特定処遇改善加算の算定要件

特定処遇改善加算を算定するには、次の要件をすべて満たさなければなりません。

  • ・処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得している
  • ・処遇改善加算の職場環境等要件に関して複数の取り組みを行っている
  • ・処遇改善加算にもとづく取り組みについて見える化している

 

それぞれ解説します。

処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得している

特定処遇改善加算の要件を満たすには、処遇改善加算を取得している必要があります。

処遇改善加算とは、介護職員の働く環境の整備や賃金改善を目的として創設された加算です。

処遇改善加算の算定要件には、職場環境等要件とキャリアパス要件があります。なかでもキャリアパス要件は、次の3つがあります。

  1. ①職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
  2. ②資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
  3. ③経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

 

引用:厚生労働省|処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)

満たしているキャリアパス要件によって、次のいずれかを算定できます。

加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ) 加算(Ⅲ)

キャリアパス要件のうち、

①+②+③を満たす

かつ

職場環境等要件

を満たす

キャリアパス要件のうち、

①+②を満たす

かつ

職場環境等要件

を満たす

キャリアパス要件のうち、

①or②を満たす

かつ

職場環境等要件

を満たす

引用:厚生労働省|処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)

加算(Ⅰ)はもっとも多くの要件が求められますが、月額3.7万円相当の加算があります。加算(Ⅱ)は月額2.7万円相当、加算(Ⅲ)は月額1.5万円相当の加算です。

処遇改善加算の職場環境等要件に関して複数の取り組みを行っている

特定処遇改善加算を算定するには、職場環境等要件に関する取り組みを複数行う必要があります。

該当する具体例は次のとおりです。

  • ・希望する職員に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする職員に対する喀痰吸引研修などの受講支援
  • ・経営理念やケアの方針・人材育成の方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
  • ・事故・トラブルへの対応マニュアルを作成するなどの体制の整備

 

上記のような取り組みが、以下の区分に分かれています。

  • ・入職促進に向けた取組
  • ・資質の向上やキャリアアップに向けた支援
  • ・両立支援・多様な働き方の推進
  • ・腰痛を含む心身の健康管理
  • ・生産性向上のための業務改善の取組
  • ・やりがい・働きがいの醸成

 

処遇改善加算では、上記の区分のうち1つ以上に取り組んでいる必要があります。

対して特定処遇改善加算では、すべての区分に取り組んでいることが要件です。

処遇改善加算にもとづく取り組みについて見える化している

処遇改善加算を算定するための取り組みに対し、介護サービス情報公表制度や事業所のホームページを通じて公表している必要があります。

公表する必要があるのは、次の内容です。

  • ・処遇改善に関する加算の算定状況
  • ・賃金以外の処遇改善に関する具体的な取り組み内容

 

なお、介護サービス情報公表制度には、インターネットで事業所の情報が閲覧できる「介護サービス情報公表システム」などが該当します。

特定処遇改善加算の区分ⅠとⅡの違い

特定処遇改善加算には2つの区分があり、それぞれ施設ごとに加算率が異なります。

加算対象となるおもなサービスと加算率は、以下の表のとおりです。

サービス区分 加算(Ⅰ) 加算(Ⅱ)
訪問介護

夜間対応型訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

 

6.3%

 

4.2%

通所介護

地域密着型通所介護

1.2% 1.0%
(介護予防)認知症対応型共同生活介護

3.1%

2.3%

介護老人福祉施設

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

(介護予防)短期入所生活介護

 

2.7%

 

2.3%

介護老人保健施設

(介護予防)短期入所療養介護(老健)

2.1% 1.7%

参考:厚生労働省|2019年度介護報酬改定について~介護職員の更なる処遇改善~

ほかにも介護医療院や訪問入浴介護などが対象です。

特定処遇改善加算の配分ルール

特定処遇改善加算の配分ルール

特定処遇改善加算は、事業所内の全職員を次のグループに分けて配分します。

  • ・経験・技能のある介護職員
  • ・その他の介護職員
  • ・その他の職種

 

配分ルールは次のとおりです。

  • ・「経験・技能のある介護職員」は月額8万円、または役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)」を設定すること
  • ・「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」より処遇改善額を高く設定すること
  • ・「その他の職種」は「その他の介護職員」の処遇改善額の2分の1を上回ってはならない

 

それぞれの対象となる条件を解説します。

経験・技能のある介護職員

経験・技能のある介護職員は、勤続10年以上の介護福祉士や社会福祉士などの資格を持つ介護職員が対象です。

勤続10年の考え方は、各事業所の裁量で決定されます。過去に勤務していた法人などの経験を含めたり、事業所内で設けている能力評価などを活用して10年以上の経験がなくても対象としたりすることも認められています。

その他の介護職員

その他の介護職員は勤続10年未満の介護職員や、勤続10年以上であっても介護福祉士などの資格を持たない介護職員が対象です。

その他の職種

介護職員以外の職種が対象です。

具体的には看護職員や栄養士、事務職員などが該当します。

介護福祉士とは?

勤続10年以上であっても介護福祉士を所持していなければ、「経験・技能のある介護職員」に該当しません。

介護福祉士は、身体的または精神的な障害によって日常生活を送るのが難しい方を対象に、専門的な知識や技術を用いて心身の状態に合わせた介護などを行います。

介護福祉士になるには、国家資格に合格する必要があります。

おもな受験資格は次のとおりです。

  • ・介護福祉士養成施設を卒業した方
  • ・実務経験(3年以上介護等の業務に従事)+実務者研修を修了した方
  • ・特例高校等卒業 + 9ヶ月以上の介護等の実務経験がある方 など

 

また、介護福祉士国家資格の合格基準は次のとおりです。

  • ・問題の総得点の60%程度を基準に、問題の難易度で補正した点数以上の得点がある
  • ・上記の基準を満たしたうえで、全科目すべてで得点がある

 

国家試験では「人間の尊厳と自立、介護の基本」などの11科目から出題されます。基準となる点数に達していても、全科目において得点がなければいけません。

介護福祉士を取得すれば、特定処遇改善加算による給与アップのみならず、転職にも有利になる可能性があります。

介護の現場で働き続けるうえで、取得しておきたい資格だといえるでしょう。

特定処遇改善加算は介護職員の給与アップに役立っている

特定処遇改善加算は介護職員の給与アップに役立つ

特定処遇改善加算には配分ルールがあり、すべての職員に同額が支給されるわけではありません。

しかし、「経験・技能のある介護職員」に該当する介護福祉士には多く配分されるなど、個々の能力が評価される加算であるといえます。

介護福祉士などの資格取得も視野に入れ、スキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。

未来ケアカレッジでは、介護福祉士筆記試験対策講座で国家試験の合格をサポートします。

通学コース・WEBコースの2種類あり、自分に合った学習方法が選べます。

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介護福祉士を目指すなら、まずは無料の資料請求から始めましょう。

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